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は主として余剰人員の整理という形をとったため大量の解雇者を出した。そのため、日雇労働者団体が急速に増加し、暴力的な求職闘争が各地で頻発した。

昭和25年6月には朝鮮動乱が勃発する。これにより連合国軍関係需要に係る雇用者数が増加した。地域的には神奈川、東京、大阪、兵庫、山口、埼玉、長崎、愛知、広島が大部分を占めていた。また、同年8月以降のレッド・パーヂ(赤色追放)により多数の解雇者が出た。

昭和26年9月にはサンフランシスコ平和条約が調印され、翌年27年には連合国軍の占領が終わる。昭和28年になると中国やソ連から抑留日本人の引き揚げが再開される。

 

(2) 地域間労働移動の状況

 中学卒業女子を中心に20歳ぐらいまでの女子の県外就職が特徴である。彼女たちは主として繊維産業に就職した。繊維産業は寄宿舎を有していることが多かったからである。

当時、失業者が増加していたにもかかわらず繊維産業求人については、他府県からの充足も難しかった。その理由は、?@雇用主が18歳〜20歳までの女子を希望した。?A労働条件が厳しかったため、都市出身の求職者のほとんどが繊維関係の工場に就職をすることを好まない。また、雇用主側も都市出身者の採用を希望しない。?B工場が2交替勤務制を採るため、遠距離の通勤が不可能であったからである。これらの事由は地方の中学卒業の女子を県外就職させる要因ともなった。

昭和25年の中学卒業者の県外就職者について見ると、男子2,606名、女子17,624名、合計20,230名であった。その中で、繊維産業についてその内訳等を図表2-2-1及び図表2-2-2に示す。これを見ると、繊維産業の主要求人府県は愛知、岐阜、兵庫、大阪、滋賀、福井、岡山、富山であり主要労務斡旋県は愛知、新潟、長野、岐阜、鹿児島、兵庫、福井、富山であった。中でも、東海、北陸という繊維産業の需要地区に挟まれた長野、新潟の両県

 

図表2-2-1 繊維業における求人数及び県外求人連絡数(件)


 

求 人 数

左中他都府県への求人連絡数

合 計

合 計

愛 知
岐 阜
兵 庫
大 阪
滋 賀
福 井
岡 山
富 山

362
400
409
105
650
20
314
0

10,203
4,981
3,245
3,183
2,453
2,484
1,703
1,767

10,565
5,381
3,654
3,288
3,103
2,504
2,017
1,767

109
140
69
90
430
0
30
0

5,871
3,740
1,858
2,663
1,604
710
919
638

5,980
3,880
1,927
2,753
2,034
710
949
638



「職業安定広報」  昭和25年

          

 

 

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